AZURELYTONE
第3部 005話
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店の床や、壁が脈打つようになびく。
「 f !!! やめて!」
オトネは、カウンターの奥に飛び込みながら、 f に呼び掛けた!
「 f 応えて!」
店の中は自身の体内も同然だ。
こざかしい真似をしたところで、
同じ事だ。
「このガキに呼び掛けても無駄だ」
「もう、この身体は俺の一部だ」
オトネは、カウンター越しに姿を現した。
その手には、リボルバーが握られている。
まだ、店の客に人間が多かった時代の骨董品……。
「おいおい……なんのつもりだ?」
「この身体を撃ったとしても、
この店から出られる訳じゃないぜ」
「そんな威嚇にしかならんオモチャなんぞ……」
「………威嚇」
「まさか」
パアアァァァアン!!!
炸裂音に合わせて、音にならない声で、
オトネが叫ぶ。
ドンッ!!!
一瞬で、空気が膨張し、f の身体を
吹き飛ばす。
<ぐっ!! しまった!>
<この女、音を操れるのか!?>
<いや……振動を!!?>
f の身体が痙攣をはじめる。
オトネは、f という存在に巣食うクロウズ
の固有振動に共鳴させて、この身体の機能を
停止させた。
f ……建物全体が、麻痺している隙をついて、オトネが扉へ駆け抜ける。
バタン!!
「?」
オトネが手をかける寸前に、扉が開いた。
<レヴィン!?>
「あれ?」
「開くじゃない……」
「なつかしいわ……」
オトネの目の前には、ミヅキでもレヴィンでもなく
………白の女だった。
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