第2部 011話
漆黒の部屋の中
「どう思う」
(知らねぇよ……)
ドゴッ!
(ゴフッ)
ミヅキは容赦なく壁を殴る。
「考えて答えろ………消すぞ」
(ゴボッ………ケっ………海水魚……さ)
(真水だから生息できる魚もいれば、
塩がまざった海水だから生息できる魚も
いるって事……)
「……?」
(あの女は、ダストを呼吸している)
「空気中のダストを常に体内で
循環させているのか……………」
(この街は、ダストが充満した事で、
夜で刻が止まった)
(さすが、あの夜以降に産まれた子供だな)
ミヅキは、唇を噛み締めた。
「いや……そうなるために産ませた
命だろう………」
(人間にも悪趣味なやつがいるもんだ)
(……あの女は、人間のまま、ダストの能力を
操るようになる……)
(次は、マンション一棟ではすまないぞ……)
しばらく一点を睨んでいたミヅキは、
決心したように口をひらいた。
「ふん……海水魚も淡水魚も共存できる
『水』をつくるさ」
(金魚の群れの中に、
鮫を放つようなもんだぜ……)
ミヅキは、ニヤリと笑った。
「かまわんさ………ひきずり出したいのは、
龍だからな」
(光の龍なんざ……ただの都市伝説)
(………ところで、お前、
またクリムゾンアウトしたな?)
(戻れなくなるぜ……俺のように)
ゴン
「必要な事だけ、答えればいい………」
ミヅキは部屋を後にした。
AZURELYTONE 第2巻
完
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