第二部 006話
「f……部屋の地下だ」
「崩れていない部屋に本体がいる………
ソイツを抑えろ!」
ミヅキは、化け物から目を反らさずに伝える。
「わかった!!」
「ミヅキ!」
「気をつけて」
f は、階段を駆け抜ける。
化け物は、ミヅキにむかって飛びかかる。
ギン!!
が………そこにミヅキはいない。
対面の壁を蹴る姿すら残像だ。
「オォォォォラアァ」
首筋に拳を叩き込まれ、
さらに、肉を裂き、骨を粉々に砕いていく。
ブチ ブチブチ ブチ ブチ ブチ
バキッン!!!
奇っ怪な角度に尖った爪が、ミヅキを襲う。
紙一重でかわすとミヅキは、距離をとった。
「……………」
<やはり………回復し、
強化しやがる………>
<ここは、奴の体内……
侵入した異物が強ければ、
免疫力も上がるってわけか……>
ズズズズズ
身体を回復させながら、怒りに満ちた物体が、おのれを肥大させていく。
「巨大化か…………」
「…………かかったな」
!
!!!!
!!!
?????
「うごけない?………だろ?」
「気が付かなかったか?」
「俺が建物に浸入するとき、
血を混ぜた事を…………」
壁一面から突き出た深紅の針が、化け物の身体中に突き刺さる。
巨大化したカラダは、さける術すらなく、次々に貫かれていく。
「!!!!!?」
ザクザク
バキバキ
針は骨までも貫きはじめた。
「この建物は
今…………俺の一部だ」
「その血液の針は抜けないぜ」
巨大な咥内に、大胆にも顔を近づけながら観察をはじめる。
「………ところで
痛覚は本体とリンクしてるのか?」
「お前………俺のマスターに
手をあげてくれたな……… 」
「機能停止で終わり?……………」
「………悪いが」
「俺はレヴィンのように甘くはないぜ」
ミヅキは、化け物の牙を一本、一本、引きちぎり始めた。
・
・
・
・
・
地下にたどり着いた
「はぁ…はぁ…。
なんなんだこれは……?」
「こんなところに扉が 」
階段の陰になる位置に扉がある。
その奥は、意外にも広い廊下になっており、
つきあたりに、さらに扉がみえる。
崩壊を始めた建物なのに
ここだけが、なにごともなかったかのように、静寂につつまれていた。
「ぐぅ………くっ」
苦痛に堪える呻き声がひびく。
f が目にしたもの…………それは、
扉に一体化した男の姿だった……。
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