第二部 004話
作戦はこうよ………
あなたのブレンド(能力)は、血液の支配。

そのまま打ち続けてもダメ。
まず、あなたは血液を注ぎ入れ建物の一部と
一体化する……。

私が攻撃を加えると同時に、
剥ぎ取る。

壊すのではない……あなたの部分を
剥ぎ取るのよ。
ビシッ!ビシ………!
「くっそ……テキトーな説明しやがって……」
「剥ぎ取るか………なるほどな」

ミヅキは、壁のスキマから自身の血液を、
流し込みはじめた。

「……死ぬなよ……二人とも」
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「はぁ……はぁ……」
<ダストの気配が消えない……? >

<かなりのDast(ダスト)を吸収したけど、
僕の意識が薄れない……>
<どうなってる? どうやってこんなにもの
人や動物を操れるんだ……? >
はぁ……はぁ…
レヴィンは、出血で薄れる意識の中、
違和感の正体に気がついた。
<ここは……この建物自体がダーザイン
なのか?>

<だとすると……ここは奴の体内………>
<抵抗すれば、するほど…… >
<より……強力なダーザインが…… >
例えば、身体に異物が混入した場合、
咳やクシャミなどで排斥する。
内部に残ったものは、消化分解する。
分解が難しいものであれば、つよい酸や
抗体をつかう。

レヴィンの答は、正しかった。
だが、それは絶望を裏付けるものに
なってしまった。
「f………逃げろ…」

壁の奥から産み出されたもの………それは、
犬と、人を不器用に混ぜ合わせた目を
背けたくなるような、巨大なケモノだった。

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ミヅキの干渉により、建物は迷宮化の能力が
封じられた……。

カラダを大きくしすぎた事で感覚と
反応が遅れる。
建物の何処かに潜む本体に気づかれる前に、
ミヅキの支配部分を一気に拡げた。
「サヨ!」

「今だ!!!!!!!」
ミヅキが叫ぶ!
「……準備はいいみたいね」

遥か上空に舞い上がったサヨが一気に
下降する。
「いくよ!! メフィスト!!」

メフィストと呼ばれた犬は、漆黒の隕石の
ように、建物の屋上に体当たりした。
バゴン!
建物が衝撃に震える。
「うおぉぉらあぁぁぁら!」
瞬間、ミヅキが自身と一体となった壁面を
一気に剥がす。

肉が引きちぎれる感覚が、全身を駆け巡ったが、ミヅキは止めようとしない。
バ! ギィ! ン!!!
建屋の崩壊する響きは、悲鳴のようだった。
【AZURELYTONE2-005】