第4部 001話 「加速」



「…………」

「……途絶えた」

「ふん……所詮、街のゴロツキども……情報収集すらままならんとは……」

こめかみを押さえていた指をはなすと、運転手に車を止めるよう指示する。

「ここからは、歩いていく」

「ボスには、夜明けまでに、確保すると伝えろ」

「ご無事で」

クロウズが降りると、運転手は一言だけ呟き、車をユーターンさせた。

「しくじれば、夜明はこないだろうな……」

その身体は、コートがひらめくよりも速く、暗闇に溶けた。



キ!!!!


ヅキ!!!!


ミヅキ!




倒れ込んだ男の顔面に、何度も拳を叩きつけた。

バキバキバキ

自身の指が折れるのも構わず、頭蓋を破壊していく。


後ろから襲いかかるもう一人を振り向きざまに
その耳に肘をねじ込む。

コイツらが、領主から与えられた部位から変質している……なら、そこを潰せば!!!


脳は、瞳が写した一瞬を、繋ぎ合わせて認識する。


人は、一秒間に60カット認識するのに対し、蜂は一秒間に250カット認識する。


蜂が、人を恐れず立ち向かえるのは、その速度に4倍以上の差があるからだ。

命を、一週間に凝縮されたミヅキは、その全身の能力を加速させた。

ゴン!

ガッ!

ズボっ!

ボッ!!

キ!

ツキ!

ミヅキ!  

「ミヅキ! 待って! それ以上は死んじゃう!」

バッ!!!!

リナの叫びに、我にかえった。

ミヅキは、自分の両手を見て呆然とする。

その血にまみれた拳は、砕け散っている。

しかし、愕然としたのは、

その突き出た骨を、武器として、男達に突き刺していたことだった。

「…………」

「リナ……大丈夫か?」

「……ぅ うん」

恐怖で座り込むリナに、手を差し伸べる。

リナの伸ばした手を、ミヅキの崩れた手は、握り返すことができたなかった。

「きゃ」

重心を失ったリナが、スーツケースに躓き、体制をくずす。

「だ…大丈夫か……」

バクン!!!!

衝撃で、スーツケースが開く。

中に入っていたのは、女の子の服ではなく……

不自然に長い尾がついた

……干からびた

……犬

犬のミイラだった。

・・・・・

冷蔵庫の電源ケーブルを抜くと、躊躇なく、肉や野菜を取り出していく。

「さぁ……おいで」

「少し寒いかもしれないが、しばらく我慢していてくれ」

アルは、少女を冷蔵庫に隠すと、店を始めてから数十年絶っていたタバコに、火をつける。

アルは、吸いかけのタバコを無造作にテーブルに置く……。

新しいタバコを取り出すと、火を点け、隣のテーブルに座る。

一口吸うと、無造作にタバコを置き、次のテーブルでさらにタバコを吸う。

全てのテーブルにタバコを置き終えた頃、その煙は部屋中をみたしはじめる。

「フ……ミヅキに見られたら、怒るだろうな……」

「ミヅキなら……それで……済むが……」

ガチャ

長い金髪を靡かせて入ってきた男は、アルを見ると一瞬懐かしそうな顔をしたが、すぐに顔をしかめた。

「なんだ……喫煙可能にしたのか?」

【AZURELYTONE第4部002話へ】



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