眠れなくなって5日が経つ。

昼間は店で働き、夜は犬を捕まえては領主の元へ連れていった……。

街の犬……200匹近くは捕まえたはずだ。

しかし、その全ては領主の犬ではなかった。

「…………!」

視線を感じ、振り替えると、店の隅から少女がミヅキを見ている。

何かを感づいたのか、ミヅキが領主に絡まれた夜から少女は微妙に距離を取り初めた。


「…………あいつの匂いがする」

連日の犬狩りのせいで、獣の匂いでもするのか………。



「なんだよ……お前こそ、同じ服着続けてるじゃないか」

「スーツケース持ってただろ?」

「服は入ってねぇのか?」

少女は、凄まじい視線をミヅキに向けた。

「スーツケースに触れたらゆるさない!!」


言い捨てると、テーブルを拭いていた布巾をミヅキの顔に投げつけると、二階へ駆け出して行った。

「…………ちっ」

「これだから、ガキは………」






しばらくすると、リナが眠たそうに欠伸をかみころしながら、階段を降りてくる。

「また姉弟ゲンカ〜?」

「どうみてもちがうだろ?」

「でも、あんたのお姉さんだって言ってるじゃん」

肉に下味の漬け込みを手早く済ませると、冷蔵庫に並べて準備を終えた。

わずかに記憶に残る姉の面影を、振り切りながら応えた。


「あんな子供が姉な訳がない……」

リナが、少し躊躇いながら、真剣な顔で呟く。

「でも……あの子が、稀族になってたとしたら……
あんたが今まで探しても見つけれなかった
理由も……」


ミヅキは、呆れたようにリナを見た。

「まさか……信じてるのか?」

「ダーザイン(不老不死)を?」


からかおうとするが、リナの顔は硬いままだ……。

「でも……あのこ………
信じられないくらい綺麗なんだ……」



「肌が弱いって言って……だからかもだけど、夜しか出てこないし……」


バンっ


「なんだ?」

「夫婦げんかか?」

玄関の掃除を終えた店長が、二人を見ながらつぶやく。

「「ちがう!!!」」

同時に応えたたが、その綺麗なハモりが、二人を赤くさせた。

「外まで聞こえてたぞ……稀族の話はすんな」

「彼等が普通の体質とは、ちがうのは確かだろうが、仲間にするのは30歳を越えないといけない掟がある………子供がなるなんて、ありえないさ」


「あっ……そうなんだ」

「まぁ あんなに可愛い子がミヅキのお姉さんのわけないか〜」


リナは、いつもの調子を取り戻し、ミヅキをからかいはじめた。



「あ……明日の下拵え終わったから」

ミヅキは、拗ねたように足早に店長とすれ違う。

「また……出かけるのか?」

「たまには、皆で飯でも…………ん?」

「お前………首になんかついて………」

首筋に、金色の髪の毛がついている……
ミヅキは黒髪だ。
金髪が………生えて……いや………刺さっている。

店長の顔色が変わる。

「お前………まさか」


「『洗礼』を受けたのか?」


「………ただの頼まれ事だよ……すぐに終らせるさ」

シャツの襟で首筋を隠すと、足早に店を出た。



【AZURELYTONE 第3部 011話へ】



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