「なに考えてるの?」


「こいつは……クロウズは、グズ野郎よ」

「ちがう………その男の子は f なの」

「無理よ……この子供の心はクロウズに喰われている」

「そんな……」



クロウズ……fの小さな頭をくわえた犬が、顎に力を込める。

「だめよ!!」

「やめて!!……やめないと」

オトネが引き金にかけた指をひきしぼる。


「……………」

「………」

「……オッケーわかったわ」

「あなたが、私と来るなら止めをさすのは、やめてあげる」

銃口を向けているのはオトネなのに、いつの間にか主導権は、サヨに移っている。

「私も……同行しよう」

「了承してもらうぞ……サヨ」

リボルバーにそっと手をあて、オトネの肩を抱いたのは、レヴィンであった。


レヴィンが来てくれた安堵と、彼でも敵う相手ではない事を悟ったオトネは、レヴィンに胸を当てて泣き崩れた。

「さあ……いくわよ」

サヨのアルカイックスマイルに、僅かに陰りが灯る。

<5人とも失うなんて計算外……ミヅキが帰るまでにここを立ち去らないとね……>


・・・・・


「必ず、目覚めさせる」


隠れ家の扉を開いた瞬間、ミヅキは異変に気がついた。


石畳に染み込ませた血液は、目に見えない超極細の血管となって、ミヅキに情報を与える。

店で、何かが起こっている。

「クロウズが暴走したか!?」


ミヅキの身体に、無数の紅い針が突き出る。

「!!!!」

針は、全身のトリガーポイント(経絡)を貫きミヅキの能力は『加速』した。


ミヅキは地面を蹴る。

その跳躍は、一歩目に10メートル、二歩目に15メートルを越えた。


・・・・・



ハイヤーのクラシックな扉をしめ、二人の気配を完全に消すと、サヨは上空を見上げた。


猛烈な勢いで、ミヅキが迫ってくる。
その視線は、すでにサヨを捉えている。

「ふふ……なかなかブレンド(能力)を使いこなしてるじゃない……」

「……でも」

サヨは、指を鳴らした。

ドン  ドン ドン ドン ドン 


店から火柱があがる。

クロウズに取り込まれた男達が自爆したのだ。


「さあ……どうする?」


ミヅキは、サヨの目の前紙一重まで顔を近づけると、踵をかえして店に飛び込んだ!!


・・・・・


<……ぐっ>

<僕は……いったい……身体を>

<くっ………しぶとい小僧だな……この身体は俺のだ……主導権をよこせ!>

ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!

立て続けに火柱が起こる。

<ぐっ!!!! なんて女だ!>
< 仲間を自爆させやがった!!>

<ぐわぁぁ!!>

僅かに身体の主導権が f に戻る。

「嫌だ……この身体は、僕のだ……おまえがでていけ!!」

きっと、この人の力には敵わない……僕にできる事……これしかない。


『フラッシュバッグ!!』


店の記憶が f になだれ込んだ。

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