賢者の花

ある北の国……。

王様は、二人の王子に語りかけました。
 
「二人が選んだ花は、どちらも希少であり、興味をそそられるものであった」
「では、それぞれに命ずる」
「それぞれの花の〘花の価値〙を高めてみせよ」
「その者を、賢き者としよう」

二人の王子は、旅立ちました。

 東の王子の花は、
 厳しい山岳でしか咲かない花。

 西の王子の花は、
 難しい交配でしか咲かない花。
 
 5年後……。

 王子たちは、青年に成長しました。

 東の王子の花は、山肌を彩りました。
 鮮やかな花は、四方の山々の輪郭を明瞭にしました。

 西の王子の花は、街中を彩りました。
 綺羅びやかな花は、人々の日常を彩りました。


 

 東の王子は、言います。

 

「私は、山々に基点をつくり、花を栽培しました」
「我々は、険しい山々を探索し、適正な土地に花を植え、育てました」
「山岳でしか育たないこの花は、街では珍しがられ、高値で取引される物となりました」
「新しい物が取引される事……それが〘価値〙」
 

 

 西の王子は、言います。


 
「私は、この品種を発明した者を見つけてその名を花の銘としました」
「彼を師事し、その術を学びました」
「それは難しいものでしたが、植物の挿木の性質を加え、容易に増やす術をつくりました」
「そして、街中の人々が日常に花を楽しめるようにしました」
 
「新しい技術が日常になる……それが〘価値〙」
 

 ……。



 西の王子の拡めた花は、その技術と生産力か国外でも認められ、その花は国の旗印となりました。

 
 むずかしいアイディアを、
 わかりやすく伝える者が、
 賢き者。

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