【闇は無ではなく、混沌】
教会は、円陣に組まれた眠り人と、それを見守る人々で溢れかえっている。
ミヅキがフードを外しても、サヨには気づかれないだろう。

(詠唱が始まっている……)
ミヅキは、意識が霞み始めるのを自覚した。
【同じ水面は存在しない平衡すらない】
祭壇に立ち尽くすオトネが、呟くように奏ではじめた。
それは……失われた唄「アズレリイトオン」。
【存在を定める】
ダストが可視化できるのは、それらの重なりが深くなっている証でもある。
眠り人達から、黒い焔が滲み落ちる。
足元を満たす闇。
それは、次第に床に沈殿を始めた。
歌声が奏でる”ゆらぎ”は、その旋律にあがらえない陶酔を誘う。
総てが、オトネの支配に誘われた。
【再生まで救出にいけない】
その闇は足首までの深さになりはじめた。
ミヅキは、足に違和感を覚えた……。
(固定された!?)
天井に繋いだ血の糸で、跳び上がりステンドグラスまで避難する。
……その足首から下が千切れ落ちていた。
(まずい! 再生するまで動けない!)
【祭壇の中央で身動きが取れない二人】サヨとレヴィン
【眠り人からダストを剥離しても目覚めない】できるなら、ミヅキは恋人をめざめさせている。
水没したかのように、協会がダストの闇に染まる。
ダストが渦をまき、唄声を放つオトネに、吸収されようとしている。
歌声に導かれオトネに吸収される前に、よりキャリアの深いメフィストに吸収させる。それがサヨの策であった。メフィストにダストを吸収させれば、その血管をつないでいるサヨの不死力もより強化される。
この街……いや、世界で唯一無二の存在になるのだ。
【レヴィンが水晶を回転させ、重力を増加】
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