第一部 004話



少し、記憶が観えてきた………あとは
ひとつだけ僕の意思をくわえる。

どのタイミングで?
何を?

…………



血まみれの手のひらに
一つの指環が乗っていた…。

「まきこんでしまって
悪かったな…」


「その指環をやるから
はやく立ち去れ」

「え…?」

予想以上に素直な青年の言葉に、僕は場違いな答えしかできなかった。


「いや……サイズも大きいし…
あげる相手もいないよ……」

「……そんな事は、どうでもいい」


「めんどうな奴がくる前に
いなくなれと言ってるんだ…」


石畳をせわしなく足音が響く。
ひとりの青年の必死な叫びがひびく。


「ミヅキ!!!!」

「………ここ!」

ミヅキとはこの青年のことのようだ。
どうやら、めんどうな奴というのは……。


「…ミヅキ!!」

「大丈夫か?」

「なんだ?」

「なんで? こんなところに子供が?」

「おい! 君、大丈夫か? 名前は?」

「おい! ミヅキ? どうなってる?」

彼の事のようだ………。


僕は、反射的に指環をポケットに
隠していた。

「え…え〜っと」

「名前………」

名前……遠い昔にだれかが
つけてくれた……
……思い出せない。


僕を名前で呼ぼうとする人とが、こんな形で現れなるなんて……。

「おい  聞こえているか? 大丈夫か?」

「レヴィン  放っておけ… …」

「俺たちには関係ない子供だ」

ミヅキは、無関心に応えて、視線を周囲に巡らせている。

「待て  子供を置いていく訳には…」

レヴィンは、僕の瞳が焦点のあっていない事を気にしている。

「それよりも 気をつけろ」

「もうひとりいるはずだ」

「……いったいどこに?」

ミヅキは追いかけていた男が、ひとり足りない事を気にかけはじめた。


「もしかして……ハンター?」


「『Dast狩り』が現れたのか?」

ミヅキの顔色が変わる。


「おい  少年」

「俺に会う前になにか見たか?」






『フラッシュバック(Flashback)!!』



【 ナンジハレトトモニ 】


僕はとっさに唱えた。


なんでこんな言葉が浮かんだのか?

遠い昔……母が唄ってた


ギン!!!


ミヅキは、一瞬、フラッシュバッグにおそわれた。

(うっ!!)
(なんだ? 今のは?)
(さっきの事象が……いや)
(これはこの少年のブレンド…か)

「??」

「どうした? ミヅキ? 大丈夫か?」

「この子供 ……」

「かなり混乱してるみたいだな」

(レヴィンには見えてないのか?)

(ダーザインにしか見えない?)


「『ダスト狩り』に遭遇する前に
この子も連れていこう」


「……」
「少年、うちで温かい
スープでも飲むかい?」

「え……う…ん」

(僕のブレンド(能力)に気づいた )

(それとも……気づいていない?)

(……悪い人達じゃなさそうだ…)

(それに…もう 闇を啜る生活も……)

僕には、数年ぶりのスープの魅力に
敵う理由を見つけることは
できなかった…。

「ミヅキ、君もそれでいいか?」




ミヅキは、わずかな違和感を感じながらも、あがらえない力に従った。

「………!?」

「ぁ…ああ」

「レヴィン、お前がマスターだ」

「お前が決めればいい」



僕のブレンド(能力)にはあがらえないんだ。


少しの申し訳ない気持ちと、なぜかホッとした気持ちで、二人に付いていった。

【第一部005話へ続く】









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